CSポートフォリオ分析
CSポートフォリオとは、製品・サービスを構成する各属性についての満足度と総合満足度への影響度を2次元にプロットした図です(CS=Customer Satisfactionの略)。
もともと欧米ではQuadrant AnalysisもしくはImportance-performance analysis(重要度-パフォーマンス分析)とも呼ばれ#1、XY軸の定義はCSポートフォリオと若干異なるものが多いようです(後述)。いずれの方法も分析の目的は同じで製品・サービスの優先的改善項目を洗い出し、効果的に開発・改良を進めることにあり、クロス集計のバリエーションのひとつと捉えられます。
方法としては、まずアンケート設問として総合満足度を聞き、価格、使いやすさ、大きさ、サポート体制など各属性の満足度を聞きます。選択肢はとても満足~とても不満の5段階評価(もしくは7段階、10段階等)で聞きます。Y軸にこの各属性の平均満足度、X軸に重要度(期待度)として総合満足度と各満足度の偏相関係数#2をプロットします。この偏相関係数が高いほど総合満足度への影響が大きい、すなわち重要な要素であると考えます。この係数はSPSSなどの集計ソフトで算出することができます。
なお、先に申し上げたQuadrant Analysis(Importance-performance analysis)では重要度にこの偏相関係数を用いず、設問の中で満足度と同様に重要度を聞いてその平均値をプロットするものが多いようです。設問例:「あなたは○○(製品カテゴリー)の商品を選択する際、次にあげる項目はどの程度重要ですか?」
XY軸へのプロットはExcelの散布図でも作図できますし、XYGrapherのようなフリーのソフトでも簡単に作図できます。こちらがサンプルです。ここでは重要度を設問内で聞いた5段階評価の各平均値としました。
図は次のように4象限に分けられます。象限を分ける境界線は、ここでは満足度、重要度の各平均の全体平均を使っていますが、中央値を使っている場合もあるようです。
・第一象限「重点維持」:重要度→高。満足度→高
・第二象限「現状維持」:重要度→低。満足度→高
・第三象限「要注意」:重要度→低。満足度→低
・第四象限「要改善」:重要度→高。満足度→低
それぞれの象限のネーミングは色々あるようですが、いずれにせよ第四象限の重要度(総合満足への影響度)が高いにもかかわらず、満足度が低い項目は至急対応する必要があるPriorityの高い項目になります。
このCSポートフォリオ分析もしくは重要度-パフォーマンス分析(重要度-満足度分析と呼ぶ人もいます)は手法に若干の違いはありますが、ご覧の通り比較的簡便な分析方法のためアンケート調査の分析でも比較的多用される手法です。
#1:”Exploring Marketing Research fifth edition” by William G Zikmund
#2:偏相関とは2つの変数の相関にはそれ以外の変数が間接的に影響する可能性がある。そこで、それを除いた2つの変数間の直接な相関のことをいう。(”新版マーケティング・リサーチ辞典” by 日本マーケティング・リサーチ協会より)