生データの無償公開はあるのか

大抵の情報はネットで入手できますが、アンケート調査の生データとなるとオープンにしているところは中々見つかりません。唯一データの相互利用という形で生データ(一次データ)を利用できるのが東京大学社会科学研究所付属日本社会研究情報センターのSocial Science Japan Data Archive (SSJDA)です。利用者は自主調査の生データを寄託するという条件で非営利目的にデータを使用することができるようです。

弊社では自主的な調査のデータを持っていないので条件を満たせませんが(民間でも○○研究所といった非営利な(?)団体は利用できるようですが、弊社のような会社が利用可能かどうかは確認はしていません)、可能性のある方は検討されてみる価値があるのではないでしょうか。
そもそもなぜ一般への生データの無償公開がほとんど存在しないのか、『「社会調査」のウソ』(谷岡一郎著)の中では次のような理由が挙げられています。

(a)(特に公的機関の場合)統計法によって禁止されている。
(b)プライヴェートな質問の守秘義務が存在する。
(c)(科学研究費など)多額の費用を使って収集したデータを、タダでオープンにするにはもったいない。いやだ。
(d)ライヴァルにより深い分析をされて、新発見をされるのが怖い(自分の仮説も否定されるかもしれない)。
(e)あまりにずさんな方法論を採用しているデータなので、恥ずかしくて見せたくない。
と。もともと過激な論調と知られている著書なので全てが真実の理由かどうかはわかりませんが、民間が、個人情報を特定できるデータを排除した(当然だが)、自主調査の生データを公開することで、公開者、利用者双方にメリットが発生する仕組みが出来ない限り中々実現は難しいということでしょうか。
一方、ここまで厳密なデータでなくてもネット上での商品の感想などの書込みなどはそのサイト利用者の特性を理解した上で分析すれば立派な生データと言えます。例えば、@コスメでは書き込んだ人の評価点、年齢、そして肌質までもが項目毎に表示されています。すなわち簡単にExcelなどに取り込んで、肌質などの属性でクロス集計できるわけです(もちろん非営利目的に)。もっとも@コスメさんは独自にクチコミの分析サービスを提供しているので、そういったことはお得意なのだと思いますが。