増えた減ったは%で語ろう

先日、某テレビ番組で今の20代は海外旅行へ行かなくなった、というお話しの中で、
「12年前に比べて20代の海外旅行者は166万人減少した。」
と、大々的に報じていました。確かにこれは事実と思いますが、今の20代は昔の20代と比べて海外旅行へ行かなくなった、ということを説明する上では適切な表現とは言えません。

そもそも20代の人口もこの12年で減少しているからです。すなわち、母数が減っているのですから、12年前と同じ割合の人が海外旅行したとしても、人数は減っているはずですね。

この場合は、20代全員に占める海外旅行者数の割合で比較しなければなりません。「減った数」ではなく、「減り具合」を見るわけです。下のグラフは20代男女の出国率の推移を表したものです。
(クリックで拡大)

(出典:田中 靖 「日本人の海外旅行と訪日外客の動向」より)

20代女性の出国率が96年の30.9%をピークに03年は19.5%まで落ち込んでいることがわかります。すなわち、
「12年前に比べて20代女性の海外旅行者は、約3人に1人から5人に1人」
の割合にまで減っているわけです。

一方、20代男性は17.8%→12.2%で5.6ポイント減っていますが、女性ほどの減り方ではありません。20代女性の海外旅行者の割合が12年前と比べて大きく減少していることがわかります。
このように統計では常に母数を意識して割合(%)で考えることが大切です。

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